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2012年3月19日 (月)

03/19 【読】「成功する人は缶コーヒーを飲まない(姫野友美、講談社+α新書) 」

「成功する人は缶コーヒーを飲まない(姫野友美、講談社+α新書) 」

日本医科歯科大卒業で臨床心理士。ひめのクリニック院長のほか、日本薬科大教授をつとめる氏が、自らの診療経験を通して得たtipsをまとめた書。2011年4月刊、2012年1月現在13刷。

TVのCMで盛んに喧伝されている「朝は缶コーヒー」というビジネススタイルが正しいと思っているひとはあまりいない...とは思うが、本書ではまずそのスタイルを栄養学的見地からばっさりと否定している。その理由はずばり、糖分の過剰摂取。缶コーヒー摂取による急激な血糖値の上昇と、その後にやってくる急激な血糖値低下が低血糖状態をもたらし、脳の働きを著しく低下させている、というのが氏の主張だ。眠気覚ましに缶コーヒー、中に含まれる糖分がさらに眠気を誘い、その眠気を払うためにまたコーヒーを飲むという悪循環が、慢性的な低血糖状態の原因であるという。言うまでもないが、糖分のとりすぎは缶コーヒーに限らず、チョコレートやキャンディーにも当てはまる。朝食や昼食などの料理にはすでに大量の砂糖が用いられているので、あえて間食で砂糖を摂取する必要性はない。能率を上げたいのならば、脳に必須となるアミノ酸やビタミンを摂るべき...という氏の主張には説得力がある。文中の「できる男は肉食系男子、草食系男子は無気力で、ひいては国を滅ぼす」なるくだりは、昨今のビジネス書らしい引きと割り切って(苦笑)、糖分を抑え、ビタミンとミネラルとタンパク質と、そして良質な油脂をとりましょうという本書の趣旨は、あざとい引きがなくとも充分に伝わってくる。

もちろん、不満もある。

一点目は第3章。「デキる男は女性上司の扱いもうまい!?」は、栄養学を主眼とした本書にはまったくの蛇足。要するに女性の心理を旨く掴み、円滑に仕事を進めていきましょうという話なのだが、栄養に関する記述は一切なし。まったく別の本の内容(しかもどこかで読んだことがある...)をそのまま挿入したように感じられた。

二点目は、傍証の少なさ。こまめにデータを提示し、客観的に論を進めるのは序盤まで。中盤はかなり乱暴に論が展開する。亜鉛が必要、ビタミンBが必要、ビタミンCが必要...なのは解るが、なぜ必要なのかを充分に説明しないため全体にやっつけ感が漂う。世に成功者と呼ばれる有名人、イチローやキングカズ、聖路加の日野原先生(今年101歳になられる)を例に挙げているが、自論の補強のためにその時々で引き合いに出しているだけのように見える。いや、有名人のだれか一人でも、氏が担当していればそれだけで説得力は増すのだが。

結果的に、全体としてどこかから聴いてきた、見てきたことのtipsのまとめになってしまっているあたりが非常に惜しい。 不満はあるものの、「まあ、そういわれればそうだよね、どこかで聴いたことがあるよね」と割り切って読んで吉。一行知識としては良いがこれを下敷きに論を張ろうとするときついかも。 (2012.03.19)

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