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2012年3月17日 (土)

03/17 【読】 雪男は向こうからやって来た(角幡唯介、集英社)

「雪男は向こうからやって来た(角幡唯介、集英社) 」

デビュー作「空白の五マイル チベット、世界最大のツアンポー峡谷に挑む」で2010年第八回開高健ノンフィクション賞ほか多数の賞を受賞。新進気鋭の探検作家による冒険小説第二作。高橋好輝をリーダーとする「雪男捜索隊」への参加と、ネパール・ダウラギリIV峰への探索行を綴ったノンフィクション探検小説。

2008年にイエティ・プロジェクト・ジャパンが企画した第三回雪男捜索隊の顛末に、1933年に世界ではじめて発見報告された雪男の歴史と、ルバング島で小野田少尉を発見しその後雪男の探索に身を投じた冒険家鈴木紀夫のエピソードを挿入した盛りだくさんな内容。亭主自身、山岳小説、あるいは探検小説の類はこれが初めてで、そのジャンルの中でどのような評価を受けているのかはわからないのだが、これがもう無闇矢鱈に面白い。雪男棲息の最有力地として知られるダウラギリIV峰への挑戦という山岳小説の要素に加え、未確認動物イエティの謎、鈴木紀夫の探索にまつわる謎など、ミステリ小説の要素を含むのに加え、物語開幕からちらりちらりと登場していたエピソードが重要な伏線となるなど、最後までしっかりと読ませてくれる。イギリスの山岳探検家エリック・シプトンに端を発する雪男探索の歴史、関係者への徹底的なインタビューがノンフィクション小説に必要不可欠なリアリティを与えている。正直、これ一冊あれば国内外の雪男に関する知識はほぼ全て網羅できる。その手間のかけ方、情報量の多さは圧倒的で、未確認動物好き、ミステリ好き、冒険好きな亭主は堪えられない内容だった。

なお(世間における雪男の対する情報が以前として曖昧模糊であることから用意に知れるように)本作においても雪男の正体は明かされないので念のため。もちろん、正体が明かされないからといって本書の価値が下がるわけではないし、もし万一見つかったとしても本書の内容が覆ることはない。雪男肯定派にも懐疑派にも、また否定派にも興味深く読めるニュートラルな内容となっている。もちろん山好きにもオススメ。ダウラギリIV峰の奥、雪男が棲むとされるコーナボン内院氷河の隔絶された世界に思いを馳せつつ、胸躍らせながら読みたい。(2012.03.17)

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