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2011年11月27日 (日)

11/27 【読】 アンブロークンアロー―戦闘妖精・雪風(神林長平、ハヤカワ文庫)

アンブロークンアロー―戦闘妖精・雪風(神林長平、ハヤカワ文庫)

南極に突如出現した超空間通路を通じ、地球への侵攻を試みる異星体・ジャムと、ジャムの侵攻を受け組織された超国家的軍隊・FAFとの戦いを描く人気ハードSFシリーズ第3弾。第一作目「戦闘妖精雪風」より30年、長きにわたって書き綴られてきた、作者神林長平のライフワークとも言うべき作品。2009年ハードカバーとして出版。現在は文庫版も発売中。

「敵の情報収集を任務とし、たとえ味方が危機に陥っても自らは必ず帰投する」・・・非情な命令に応えるべく、圧倒的な推力と情報収集能力を備えた戦闘機「雪風」と、雪風にのみ心を開くパイロット・深井零を主人公に、コミュニケーションとは、意識とは何かを深く掘り下げた本シリーズ。圧倒的かつ緻密なメカ描写が話題となった「戦闘妖精雪風」、機械(雪風)と人間(零)との異種間交流を描いた「グッドラック」に続く本作では、ついにジャムが人類に対して宣戦布告する。これまで一切のコミュニケーションが通じなかったジャムが、FAF内に現れた裏切り者という媒介を経て人間へと間接的コミュニケーションをとり始める。30年も(小説世界においてもジャムとの戦争は30年間続いている)経ってやっと宣戦布告かよ!と思う向きもおられようが、異種間の、特に異星とのコミュニケーション(しかも人間と同じ血肉を持つかも怪しい)ならば、そう都合よくコミュニケーションが進むとも思えない。ある意味非常にリアルな設定、ともいえる。

特筆すべきは、本作が、30年の歳月を経て他の神林作品(たとえば「七胴落とし」や「言葉使い師」、「我語りて世界あり」などといった、思索的SFへと軸足を完全に移した点だろう。言葉によって多様に変容する世界、現実が瞬時に夢幻へと変化する世界にあって、自分と、他者を語ることは極めて難しい。それが人間と機械、機械と異星体、あるいは異星体と人間ならばなおのこと。作者は、かつてないスケールで前人未到のジャンルへと足を踏み入れている。(2011.11.27)

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