« 02/15 【聴】 Venus and the Sky Turns to Clay / Makana, MakanaMusic | トップページ | 02/20 【聴】 Under the Surface / Makana, Victor(VICP-64382) »

2011年2月17日 (木)

02/17 【読】怒らないこと―役立つ初期仏教法話1―(アルボムッレ・スマナサーラ、サンガ新書)

「怒らないこと―役立つ初期仏教法話1―(アルボムッレ・スマナサーラ、サンガ新書)」

 スリランカ上座仏教(テーラワーダ仏教)長老。1980年来日後は国内にて初期仏教の伝道に努めるアルボムッレ・スマナサーラ師による仏教法話集。師の著作は同出版社よりかなりの冊数(おそらく20冊以上)が出版されており、そのどれもが版数を重ねてロングセラーとなっている。現代の日本人が忘れがちな「心」のあり方を、初期仏教の観点から平易に諭す。

  本書のテーマはずばりタイトルと同じく、「怒らないこと」。最初の章「怒りとは何?」では、仏教における「怒り」の種類から怒りとは何かを概観し、第2章「怒りが幸福を壊す」において、怒ることがいかに愚かで醜い行為であるかを噛んで含めるように説明する。「怒り」とはすなわち「自分を焼き尽くす火」であり、「猛毒」なのだという。怒りは他人だけではなく、自らの体までも蝕んでゆく。仏典に記された暗い感情、「怨み」や「他人の軽視」、「他人との競争」「嫉妬」「物惜しみ」「反抗」「後悔」あるいは人を殺すまでにいたる「激怒」―――これら「幸福」に相反する感情を持ったその瞬間、人間は徹底的に無知な存在へと成り下がる。「怒るのはバカのすることだ」。怒りを語る師の言葉は強烈なメッセージを読み手に伝える。

  さらに本書では、「怒らない人」「怒りの治め方」で、いかにして怒らないか、いかにして幸福に生きるかを仏陀やその弟子たち、あるいはイエス・キリスト(!!!)の生き方から指南する。謙虚でいる、面子を捨てる、人を許す、生きがいに拘泥しない、冷静に叱る―――。聖人じゃあるまいし、そんなのは無理だよという声が聞こえてきそうだが、師の言葉は常に具体的、決して無理ではない。お釈迦様の言葉「たとえ泥棒が来て、私をノコギリでばらばらに切っても、私は怒らない。怒ったら私の負けだ」の境地には達することができなくとも、だ。

 亭主自身も、ここ10年ほどはなるべく怒らないよう心がけて暮らしている。年に1回、2回怒ることはあって、まだまだ修行が足りないと思うこともあるのだけれど、それでも子供の頃、若い頃に比べたらずいぶんと機嫌よく、楽しく生きることができるようになってきた。自分がこれまで様々な本から得たこと、自分自身で考え、思い至ったことを裏付ける記述もあって、ずいぶんと勇気付けられた。ついでに先日のコミュニケーション研修で登場した「アサーション」に良く似た考え方を発見し、さてこれは師がアサーティヴ・トレーニングを知っていて書いたのか、それとも仏教の考え方そのものがアサーティヴなのかと思いを巡らしたりもした(実際は後者なのだろう)。

 キリスト教から現代心理学までを網羅する、懐の深い本。「知っている人」はかなり深く読める、かも。(2011.02.17)

« 02/15 【聴】 Venus and the Sky Turns to Clay / Makana, MakanaMusic | トップページ | 02/20 【聴】 Under the Surface / Makana, Victor(VICP-64382) »

」カテゴリの記事

コメント

かたぎりさん、こんばんは(^ー^)/

ぼくは小池龍之介氏の「もう、怒らない」を読みました。
書かれている内容は、おそらく「怒らないこと」と同様ではないかと、たかぎりさんのレビューから推測されます。

仏道で説く心の有り様は、現代の心理学や生理学に照らし合わせても納得するところがあるようですね〜。

ある教えが全てを解決することはないでしょうが、自分の立ち位置を失わないことを前提に、教えを「吸収」・「活用」できれば、今よりも楽に生きていけるのかもしれませんね。

きんたこさん、こんばんは(^−^)
コメントありがとうございます。

>仏道で説く心の有り様は、現代の心理学や生理学に
>照らし合わせても納得するところがあるようですね〜。

数千年、あるいはそれ以前から蓄積されている人類の英知ですからね(^−^)b
参考にすべき部分は多いのでしょうね。

>自分の立ち位置を失わないことを前提に、

おっしゃるとおり、非常に大事な点かと思います。
ノウハウとして(あるいは教義として)鵜呑みにするのではなく、
自分の中で判断し、取捨選択することが必要だと思っています。

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

« 02/15 【聴】 Venus and the Sky Turns to Clay / Makana, MakanaMusic | トップページ | 02/20 【聴】 Under the Surface / Makana, Victor(VICP-64382) »

2019年9月
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30          
フォト
無料ブログはココログ