2021年1月 1日 (金)

01/01 お知らせ

トップページはこちら

Domuya Portal

2020年12月 1日 (火)

12/01 【聴】X-Mix The Electronic Storm / Mr.C, !K7(k7044CD)

IMAGE

 ドイツはベルリンを拠点とするテクノ/エレクトロニック・レーベル、Studio !K7がリリースしたDJ Mixシリーズ"X-Mix"より、UKのテクノ・ユニットThe ShamenのメンバーでRichard West(Mr.C)のミックスが登場。シリーズ全10作の6作目となるアルバム、初期テクノらしいアッパーでカラフル、ノリの良いミックス・アルバムに仕上がっている。全21曲。今回はAmazonマーケットプレイスで購入したところ、Limited Editionが届いた。Limited Editionには"Techno Quiz"なるトランプ状のカードが同梱されており、全51枚のカードにそれぞれLevel 1から5まで5問づつ、合計255問のクイズが書かれている。


 亭主はThe Shamenのことを実はあまりよく知らず、当然Mr.Cも存じ上げなかったのだけれど、本ミックスを聴くと非常にポップで、いまさらながら個人的高感度が爆上がりしている。Carl Craig, Planet 6など有名どころは控えめに、しかしトラックそのものは非常に陽性かつバラエティに富んでいて、聴いていて素直に楽しいし、ノれる。これまで亭主がDJ Mixのアルバムを効いてきた限りでは、ミックスは大きく二つの傾向に分かれて一つは「すべての曲を同系統で揃える」もの、もう一つは「様々な曲を超絶技巧でつなげる」ものなのだが、Mr.Cのミックスは二つの傾向のちょうど中間に位置している。すなわち、各曲はテクノとして粒を揃え、しかし様々な趣向を凝らしたトラックをつなげることで、飽きの来ない、楽しいミックスに仕上がっているのだ。ちなみに「すべての曲を同系統で揃える」タイプのアーティストの代表格はジェフ・ミルズ、ミニマルテクノ系のDJがこれを得意とする。対する「様々なな曲を超絶技巧でつなげる」タイプのアーティストはケン・イシイあたりだろうか。個人的にはどちらも好きだし、それぞれに楽しめるのだけれど、いわゆる「テクノ初心者」に向けては後者のほうが圧倒的におススメできる。Mr.Cの本ミックスもまた「楽しさ」からすれば「テクノ初心者」向けであるし、アーティストのラインナップからすれば中~上級者向けでもあると言える。結構良い。


 なお、同梱の"Techno Quiz"、亭主もそれなりに知識があるのでチャレンジしてみたのだけれど、Level 1~3あたりはなんとかなるとして、以降はなかなか歯ごたえがある。やはり当時のテクノシーンをよく知っている人、特にUKの細かいレーベルや、DJたちに知識がある人でなければ答えられない難問ばかりで、読んでいて「わかるかい!」と突っ込みを入れたくなるものも多かった。こういうゲームは、うーん、現在できる人がどれくらいいるのかな。亭主の周りにテクノに詳しい人はほとんどいないので、ただカードを眺めているだけ、コレクターズアイテムになるだけになりそうで、大変勿体ないのだけれど(2020.11.05)

2020年11月29日 (日)

11/29 【聴】 Medicine Compilation / Haruomi Hosono from Quiet Village, SONT GT(MHCL-10137)

IMAGE

 細野さん1993年のアルバム。前作"omni Sight Seeing"に引き続きEpic Sonyからのリリース、「全方位観光」をコンセプトに掲げた前作に対し、本作ではネイティブ・アメリカンの思想や死生観をベースに「治癒・癒し=メディスン」の音楽を集めている。"omni Sight Seeing"と同じくSACD/CDハイブリッド盤としてリリースされた。


 "Medicine Compilation" ... 本作と語るうえでぜひ話題として挙げたいのは、1992年11月にWOWOWで放映されたスペシャル番組「ホソノ・ハレルヤ」だろう。全3夜を通じて放送された本番組は、細野さんの過去から現在までを音楽で綴ったもの。過去の作品・映像から細野さんの音楽遍歴をたどる第1夜"H2 History"、沖縄ロケの映像とともにワールド・ミュージックへと接近した近作に焦点をあてた第2夜"Native Music"、そしてリリ・ボニッシュ、ジュリー・クルーズらをゲストに迎え、屋外での演奏を中心に構成した第3夜"Quiet Lodge"と、各話で構成を明確に変えている(セット・リストはHosono Archaeology1992年のChronicleに詳しい)。ミュージック・ビデオのようでもあり、ドキュメンタリーのようでもあり、はたまたライブ映像のようでもありと、全貌を一つの言葉で語るのはなかなか難しいが、番組内で演奏された曲のうち何曲かが本作にも収録されていて、「ホソノ・ハレルヤ」を観た人ならば「ああ、あれ」と思い至っただろうし、アルバムのコンセプトをかなり正確に把握することができただろう。残念なことに「ホソノ・ハレルヤ」は現在に至るまでDVD/Blurayなどのパッケージ・メディアで発売されておらず、亭主もネットのおともだち「でんきやさん」からダビングしてもらったVHSテープしか持っていない。そんなわけでこのスペシャル番組を観た人はファンのなかでもかなり少ないのではなかろうか。


 本作がネイティブ・アメリカンの思想や死生観に強く影響を受けた作品であることは、実は細野さんの他の著作やインタビューでも度々言及されていて、当時細野さんが傾倒していたカルロス・カスタネダの「ドン・ファンの教え」にインスピレーションを受けていることはことに有名。前作収録の"Laugh Gas"のようなアンビエント・ハウス調のトラックに加え、ハニー・ムーンやマブイ・ダンスのセルフ・カヴァー、あるいは荒野に吹きすさぶ風の音を収録したアンビエントなど、前作に比べると地表スレスレを狙ったダウナーな作品が多いのが特徴。死や死者の世界の深淵をのぞき込むかのようなディープな世界観から、精神や魂が最後に行き着く先にある「辺境の音楽」を感じ取ることができるだろう(2020.11.06)

2020年11月25日 (水)

11/25 日々雑感

 このところブログ更新が滞っているのは、一つはグラブルの古戦場イベントが激烈だったこと、もう一つは体調不良が続いていて、頭が回っていないことによる。

 体調不良といってもいわゆる「コ」の字ではない。ここ1週間ほど肩こりがひどく、首から肩から背中から、ガチガチに固まっていて文字通り「首が回らない」状態なのだ。クイックマッサージにいきたいのだが、妻に基礎疾患があり「コ」の罹患は命に関わる。先日の三連休も、スーパーとコンビニ、それにわんこの散歩以外はほぼ家で過ごした。ところが妻はスポーツクラブのプールにいそいそと通っていて、基礎疾患はどうしたと心の中でつっこみを入れている。

 最近スカイリムをプレイしていることも、首がガチガチに固まっている理由の一つかもしれない。独身時代にオブリビオンにドはまりしたこともあって、スカイリムもまた亭主の心をしっかりとらえて離さない。このゲーム、オープンワールドということで圧倒的な自由度の高さが売りなのだけれど、亭主の場合リアルで美しい自然描写が気に入っていて、戦闘よりもまずフィールド探索、風景を見ながらの移動が楽しい。森の中に突然現れる廃屋や、異形のデザインを持つ巨大構造物や地下迷宮が、亭主の旅心や廃墟心をいたく刺激する。いや実際、スカイリムをプレイする前後から、亭主の夢の中には廃屋や巨大構造物がたびたび現れるようになっていて、亭主の深層心理が掘り起こされたのか、それともスカイリムの世界が亭主の意識を侵食したのか、いずれにせよ大きな影響を与えていることには間違いない。

 グラブルに関しては、古戦場の話題以前に「どむや」での進捗報告が滞っていて、いまさら報告してもなぁ、と半分あきらめモードである。十天衆の最終上限解放を完了して以降、アーカルム召喚石をすべて最終上限解放した。また十賢者の3人目・ニーアを仲間にした。高難度コンテンツ(たとえば六竜ソロ)にも積極的に参加するようにしていて、黄龍黒麒麟武器はすべて最終上限解放(5凸)済み、アストラル武器はすべて4凸済み、目下六竜武器の強化を進めている状況である。六竜武器6本のうち2本を5凸し、残り4本の5凸を目指しているが、素材が遅々として集まらないので気長に取り組んでいる。そうそう、ニーアを仲間にするために必要なセフィラ玉随は、古戦場の勲章交換で取得した。古戦場で念願の個人貢献度7万位以内を達成し、勲章100個をもらったのが大きかった。

 90日間のダイエットを終えて、現在は維持期に入っている。以前に比べると1kgほど戻ったが、ダイエットの当初目標体重以下をキープしていて、とりあえず現状維持といったところ。亭主の場合、ジョギングをするとなぜか体重が増えるようである。三連休でのジョギングで体重が1kg増えた他、背中や肩のこりがひどくなったりもしたので、正直あまりいいことがない。ただ、いいことがないからとサボるわけにもいかず、とりあえずこれからもできる範囲で粛々と走る予定。

 オーディオに関してはSACDプレーヤが欲しいとかねがね思っていて、できれば高品位DACのついたSACDプレーヤが買いたいと思っている。現在のAccuphase DP-55Vのリプレースとなるだろうか、DP-750あたりが欲しいと思いつつ当然手がでない。DP-750を買ったあかつきにはこれまでメインDACとして使ってきたRotelのRDD-06を退役させ、PCオーディオのグレードアップを図りたいと思っている。ついでに最近すっかり使わなくなったアナログプレーヤPro-Ject Perspectiveを処分して別のプレーヤを購入しようかと思っているが、使用頻度の低いアナログに追加投資をするかどうかは判断の迷うところである。

 AppleからiPhone 12シリーズが発売となった。来年2月にauのアップグレードプログラムが満2年を迎えるので、それを機会に機種変更を考えている。ただ次回はスマホ代金を分割するのではなく、一括払いにしたいと思っているが亭主の契約には妻のスマホ契約分も含まれているので、おいそれと料金プランや、キャリアを変更できない。まあ順当に機種変更だろうとは考えている。そういえば妻のスマホケースはハワイで買ってきた思い出のものなので、機種変更でスマホの大きさが変わるのをいやがるだろう。妻は継続使用を希望するに違いない。もともとスマホにはあまりこだわりのないタイプなので、致命的に処理が遅かったり、画面がバキバキに割れていない限りは現状維持になりそうだ。

 そんなわけで最近の状況。一気呵成に書いてみたが、もしかしたら分けて書いた方がブログネタとしては良かったのかもしれない、などとひそかに後悔しつつ、とりあえず明日以降の記事への呼び水になればと思っている。

2020年11月22日 (日)

11/22 【聴】omni Sight Seeing / Haruomi Hosono, SONY GT(MHCL-10136)

IMAGE

 細野さん1989年のアルバム。Monad/Non-StandardレーベルをプロデュースしたテイチクからEpic Sonyへとレコード会社を移した最初の作品で、本アルバムは欧州でもリリースされるなど、グローバルな展開を見せた。アルバムの意味は「全方位観光」。日本から古代エジプト、中近東、ニューヨーク、果ては幻想世界に至るまで、神秘思想を意識しつつ様々なサウンドスケープを網羅した、テクノ/エレクトロニカ/アンビエントの傑作。全9曲。最近のYMO再発盤と同じく、今回も砂原良徳さんによるデジタルリマスタリングが施されたSACS/CDハイブリッド盤としてリリースされた。


 Monad的なアンビエントに江差追分を重ねた"ESASHI"から始まる本アルバム。当時ブルガリアやトルコ、フランスのライ・ミュージックなどワールド・ミュージックに関わる機会が多かった細野さんにとって、本アルバムはワールド・ミュージックに対する細野さんなりの「解答」だった。ポップ・ミュージックの解釈が指数関数的に広がるなか、単なる「観光」資源、「音楽」資源ととらえられていたぬ世界の民族音楽を、細野さんは重層的に捉えた。コリン・ウィルソンやカルロス・カスタネダ、ウィルヘルム・ライヒらの神秘思想や、エジプト文明やインカ文明、果ては宮沢賢治「銀河鉄道の夜」の世界観に至るまで、時間や空間、神秘や幻想を曲の中にこれでもかと取り込むことで、アルバム全体を一つのコンセプト「全方位観光」へとまとめることに成功した。中沢新一さんとの著作「観光」が、原初日本の神性を追求したのに対し、本作の見据える先は時間や空間を超越する「全方位」である。かつて中沢さんとの「観光」により制作された"Mercuric Dance"に比べて圧倒的に色彩豊かなのは、視点が「全方位」的なだけでなく、一つの曲にあらゆる方面からダブルにも、トリプルにも意味づけがなされた重層性にある。


 ところで。


 バクレツな枚数のCDを所有し、今もなお着々とコレクションを増やしつつある亭主であるが、一枚いちまいのCDすべてに思い入れがあって、買った時の状況や、その時の心境などは明確に覚えている。たとえば本アルバムは、亭主が大学2年生の夏休みに駒ヶ根市の「ヤマサン」というCD/楽器店で購入したものだ。電車に乗って、汗をかきかき訪れた「ヤマサン」のCD売り場にこのアルバムはあって、当時の亭主、一も二もなく買ったことを覚えている。なにしろそれまで細野さんのアルバムといえば過去にリリースしたものを買いそろえるばかりで、アルバムリリースをリアルタイムで追っかけることができなかったのだ。細野さんと同じ時代を生きている、新譜を買っていることがうれしくて、本アルバムも実に良く聴いた。意外だったのは当時同じ学生寮に居た某大ジャズ研のK氏に受けたことで、テクノやエレクトロニカ、アンビエントにとんと興味のないK氏が、本アルバム収録の"Caravan"(いうまでもなくジャズ・スタンダードだ)を聴いたことをきっかけに亭主との音楽的な距離が急速に縮まったことだ。亭主はジャズを聴くようになり、K氏もまた上野耕路やゲルニカ、戸川純の音楽を聴くようになった。くしくも本アルバムのコンセプト「全方位観光」が、亭主やK氏の音楽に対する視野を全方位へと開かせることに成功した、といえるのかもしれない(2020.11.06)


2020年11月16日 (月)

11/16 【聴】 Join the Pac -Pac Man 40th Anniversary Album- / V.A., U/M/A/A(UMA-1137-1138)

IMAGE

 1980年にアーケードゲームとして発表され、様々なプラットフォームで遊ばれてきた「パックマン」のリリース40周年を記念して製作されたアンソロジーが本作。参加アーティストはケンイシイ、パソコン音楽クラブ、sasakure.UK、中塚武、Buffalo Daughter、Dian(静電場朔、A-bee、immi)、テイトウワ、スチャラダパー、Power Pill(R James)と、ベテランから新進気鋭まで濃いメンツを揃えている。なお本作はディスク2枚組、Disk 1にはアンソロジーとして12曲が、Disk 2にはパックマン・シリーズ(Pac Man, Super Pac-Man, Pan & Pal, Pacmania)4タイトルのゲーム音82トラックが漏れなく収録されている。


 画面内のコースに散らばるドットをすべて取るとゲームクリア、となるタイプのゲームを一般にドットイートゲームと呼ぶ。亭主の記憶する限りドットイートゲームの元祖はSEGAのヘッドオン。パックマンはヘッドオンから下って1年後にリリースした、いわば後塵を拝するゲームということになる。ただ、パックマンが革新的だったのは、単純な周回コースであったゲーム画面を迷路タイプにし、その中に個性ある4種の敵キャラ(オバケ)を配置したことだ。単純なアルゴリズムながらもまるで意思を持つかのように動き回る敵キャラ、コース4か所に配置され、一発逆転が可能なスペシャル・ドット(パワーエサ)、画面左右をつなげるワープトンネルや、数々の隠されたフィーチャーは多くの人々の支持を得て、パックマン(主人公)自身がナムコを代表する、マスコット的なキャラにまで成長した。


 パックマンの成功は、その革新的なゲーム性もさることながら、当時のポップ・カルチャーと絶妙にシンクロしたゲーム・デザインによるところも大きい。たとえば青いワイヤーフレームで描かれた迷路はブルーのネオン管すなわちディスコ・カルチャーをイメージさせるし、パックマンがくねくねと迷路を曲がり進む姿はまるでダンスを踊っているかのようである。なお、パックマンのデザインは、当時の開発者がピザを食べているときに(欠けたピザの形から)思いついたというのは有名な都市伝説らしい。シンプルな画面から垣間見えるアメリカンな意匠の数々は、日本の人には最先端のポップカルチャーとして、海外の人には世界の中心たるアメリカのアイコンとして見えたに違いない。


 話がずいぶん曲がりくねったが、要するにパックマンをダンス・ミュージックの文脈でとらえることは、上の経緯から言っても全く自然な話。ケンイシイをはじめ内外のコンポーザによるアレンジは、どれも80年代ディスコ・シーンを思わせるキラキラしたもので、パックマンの世界観をよく表している(おっとスチャダラパーのラップは、昭和の駄菓子屋にあった小さなゲームコーナーのワンシーンだけれども)。シンプルなゲーム音を組み合わせてガシガシのテクノ・トラックにしたもの、女性ヴォーカルと中国語をフィーチャーし異国情緒たっぷりに仕上げたもの、おっと、Buffalo Daughterは相変わらずのダビーなエレクトロック、テイトウワはおなじみのCHATR(音声合成システム)を使ったハウスとアーティストならではの個性が垣間見えるのも楽しい。アーティストのファンはもちろん、テクノ/エレクトロニカが好きな人にもおススメの一枚。


 なおDiac 2はゲーム中の音楽/SEを集めた純粋な「ゲーム・ミュージック」。特にPacmaniaの音源はこれまで陽にリリースされたことがないため必聴といえる(2020.10.31)

2020年11月12日 (木)

11/12 【聴】Technasma / Logic System, pinewaves(PW-10)

IMAGE

 シンセ奏者である松武秀樹氏を中心としたプロジェクト、Logic Systemの最新アルバム。今回は山口未央子氏をパートナーに迎え、カジュアルかつポップなシンセ音楽をたっぷり聴かせる。全11曲、M11はボーナストラックとして坂本龍一氏との共作、2014年1月に放送されたNHK番組「Schola 坂本龍一 音楽の学校」で演奏された即興ライブを初収録する。


 毎回「和」を意識したサウンドを指向するLogic System。テレビのドキュメンタリー番組で使用されることが多いからか、雄大な自然を想起させるトラックが多かったかと記憶している。ただし本アルバムにおいては、どちらかといえば親しみやすい、聴いていて素直に楽しいトラックが揃っている。どこから聴いても良いし、どこで止めても良い、そんな気軽なアルバムに仕上がっている。おそらくアルバムのポップな作風は山口氏の参加によるものだろう。


 中には「和」を離れ、ちょっとエスニックな感じに仕上がっている曲もあったり(M08「妖踊」)、アメリカの現代音楽家Philip Grassの作品を叙情的にカヴァーしたり(M06 "Closing//Grassworks")と、あえて枠を設けず自由奔放な演奏に徹している。すべての曲がインストであり、ダンス・ミュージックやポップスのような「用途をあえて定めた」音楽に比べれば圧倒的にフリーではあるものの、そのフリーさがあえてつかみどころのなさやアルバムコンセプトの不明瞭さにつながっているあたりは残念。とはいえ、たまにはこういうサウンドトラック的なアルバムも耳新しくて良い。(2020.10.18)


2020年11月 8日 (日)

11/08 【聴】Tiny Reminders / Two Lone Swordsmen, WARP(WARPCD77)

IMAGE

 Andrew WeatherallとKeith TenniswoodによるUKテクノ・デュオ、Two Lone Swordsmenの2000年リリースのアルバム。UKの老舗テクノ・レーベルWARPからのリリース、短めのテクノ・トラックを連ねた小気味よい小品集。全19曲。


 メンバーであるAndrew Weatherallは他の名義でも活躍しており、国内ではThe Sabres of Paradise名義が特に有名かもしれない。ただしTwo Lone Swordsmenの名前もテクノ・コンピレーションの常連アーティストとして度々楽曲が提供されており、国内での知名度が足りない、といったほうが正確だろう。実際、Two Lone Swordsmen名義で国内からメジャーリリースされていたアルバムはなく、特にSONY TECHNOなどWARPレコードの作品を固め打ちでリリースしていたレーベルからも国内盤が発売されなかったというのは意外と言えば意外だ。


 作品は非常にオーソドックスというか、1990年あたりから盛りあがりを見せていたUKテクノの潮流ど真ん中といった感じのエレクトロニック・ミュージック。極端なミニマリズムや、ブレイクビーツや生楽器と組み合わせた奇抜なアレンジメントなどは見られず、ダンス・ミュージックとしての機能性(フロアを爆アゲするためのテンション)もなく、ある意味非常にピュアでイノセントな電子音楽といえるだろう。


 ある種テクノのお手本ともいうべきトラックがならぶ本アルバムだが、その中で一種異彩を放っているのがM8"Brootle"。実はこの曲、イントロがYMOの"Camouflage"とまったく同じなのだ。少しBPMを速めているが、そのほか音色もビートもYMOにそっくりで、YMOファンならば「え、えっ?」とうろたえること間違いなし。サンプリングしたのか、それとも一から作り直したのかはよくわからないが、Two Lone SwerdsmenがYMOのこの曲に大いにインスパイアされたことは確かだろう。当時のテクノ・アーティストの多くがYMOに強く影響を受けていることはインタビュー記事などからも窺い知れる。確かにアルバムに収録されたトラックのなかにはYMOの楽曲を思わせる雰囲気のものも少なからずあって、YMOの影響がまだまだ色濃い時代だったのだと勝手に想像している(2020.10.14)


2020年11月 6日 (金)

11/06 CASIO 関数電卓fx-7000Gの退役

 愛用のCASIOの関数電卓fx-7000Gの調子が悪い。

 動作そのものは問題ないのだが、液晶画面の中央部分が黒く変色し、黒い文字がみえなくなってきたのだ。

 fx-7000Gは、たしか1986年の正月に、CASIOのポケコンFX-780Pとともに文房具屋で買ったものだ。初売りだったかfx-7000G、FX-780Pともに5000円と激安で、当時高校生だった亭主、二つとも躊躇なく買った。どちらもずっと使い続けてきた「愛機」だったが、FX-780Pはしばらく前に動作不良とになり(リンク参照)やむなく現役を引退している。1986年から2020年、34年間使ってきたfx-7000Gもどうやら引退の時がきたようだ。

 大学に入学する際、演習で使うからと大学が「関数電卓」購入を勧めてきたが、既に亭主にはこれ(とFX-780P)があった。社会人になってもちょっとした計算はこれで済ませた。関数電卓を持つことは理系出身学生の矜持である(と亭主は勝手に思っている。今の学生がどう思っているかはしらない)。Excelよりも簡単で、ケータイの電卓よりも高機能で、スマートフォンのアプリよりも操作性が良い。それが亭主の関数電卓に対する評価だ。

 fx-7000Gの後継をなににするか、そもそも関数電卓を買うかどうかは、まだ決めていない。CASIO、Sharp、その他メーカのHPを眺めているが、まだピンときた機種がない。操作性や機能は以前に比べれば格段に向上しているだろうが、亭主の使い方ならばそれほどのハイスペックは不要だろう。それよりなにより、手元に置いたときの佇まい、ぐっとくる「何か」があるものが欲しいのだが、残念ながら亭主の曖昧な要求に応えてくれる機種は、いまのところ見つかっていない。

Img_9405 Img_9406

2020年10月30日 (金)

10/30 【読】 「ジャズ喫茶ベイシー読本(別冊ステレオサウンド)」

「ジャズ喫茶ベイシー読本(別冊ステレオサウンド)」

 岩手県一関市にあるジャズ喫茶「ベイシー」。名前の由来となったカウント・ベイシーをはじめ多くのミュージシャン、文筆家、芸能人が(その距離にも関わらず)足繁く通い、交流を深めるジャズ喫茶の巨星が、このたび開店50周年を迎えた。本書は「ベイシー」と店主である菅原正二氏をまるまる一冊あつかった特製版。2020年5月刊。


 巨大なウーファを備えたJBLのスピーカシステムでジャズの名盤を次々と再生する「レコード演奏家」菅原氏。実家の土蔵を改造した喫茶店は、菅原氏と、そのオーディオシステムを楽しみにする人たちで常ににぎわっている。かつては早稲田のビッグ・バンド「ハイソサイエティ・オーケストラ」に所属し、その行動力でビッグ・バンドを成功に導いた他、プロのドラマーとして活動した氏だったが、胸の病気から静養せざるをえなくなり、故郷の一関に戻ったという。ところが、東京時代の人脈や、氏の人柄に惚れ込んだ人々の縁は絶えることなく、まるで日本のジャズとジャズ・オーディオの中心が一関であるかのような盛り上がり(?)を見せている。


 「盛り上がり」と書いた後に(?)とあえて疑問符をつけたのは、そんなジャズ・オーディオシーンの中心にいる菅原氏自身はあくまでもストイックに、自らのオーディオ道を追求し続けているからだ。最高の音を出すべく自らのオーディオと格闘する日々。ジャズ喫茶の店主として客と接する一方で、昼も夜も自らの出音と向き合う氏の生き方に、共感し、尊敬し、またあこがれの念を抱く人も多いだろう。


 本書は、そんな菅原氏とベイシーを様々な角度から読み解こうと試みる。40ページにも及ぶカラー・グラビア、ベイシー開店までの経緯を綴ったクロニクル、あるいは菅原氏と縁の深い人々たちからのメッセージなどなど、そのどれもが菅原氏とベイシーを深い愛情で包んでいる。ステレオサウンドに掲載された記事の再録もあって、特に最近逝去された菅野沖彦氏との対談は今となっては貴重。ジャズとオーディオをすこしでもかじったことのある人ならば必ず耳にするであろうベイシーの世界を、この一冊で存分に楽しむことができる。(2020.10.30)

«10/27 日々雑感

2020年12月
    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31    
フォト
無料ブログはココログ