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2019年4月25日 (木)

04/25 日々雑感

このところブロ活が滞っている。

読書の進行も遅いし(一応読んではいる)、4月に購入したCDはたったの1枚と、ブログの記事にするネタに乏しいこともある。そもそも歳をとってくると、基本的にどんなことも「テレビの再放送」的、すでに経験/報告済のことだったりするので、ことさらブログで報告すべきこともなかったりする。まあそんなことを言っていてはブロ活など不可能なのだけれど。

ブロ活を支える基本的なメンタリティが「好奇心」と「肯定的な態度」そして「サービス精神」であることは間違いないわけで、これがない状態で新しいネタなど仕入れられる筈がない。新しいブログを始めるなどと言っても、書くことがなければ「箱を作って中身を入れず」である。なので、なるべく「好奇心」「肯定的な態度」「サービス精神」を忘れず日々の生活を送っていこうと思うわけだが、なかなか気持ちが追いついてこないというのが実態である。

火曜日に人間ドックを受診したところ、すべての検査結果が昨年と同程度だった。検査後に産業医と面談したのだが、昨年の結果とあまりにも変化がないためか、それとも亭主がいい加減高齢だからか、さくっと説明したのち速やかに面談の終了を告げられ、なんら反論の機会が与えられないまま面談室を出る羽目になった。例年ならばいろいろと検査結果に難癖をつけられ、生活態度を改めよとか、運動せよとか言われたはずが、今年に限っては何の指導もなかったのだ。おかげで(難癖をつけられることを予想して準備していった)反論を述べる機会が一切与えられなかった。普段のうさばらしとばかりにゴネてやろうと思っていたので、産業医の態度はいささか拍子抜けであった。おそらく亭主には生活改善ほどの価値もないのだろう。改善すべきは将来ある若者たちの生活であろうと一人で納得して帰ってきた。

ただおかげさんなことに、耳も眼も異常なし、肺も心臓も元気そのもの、オプションで受診した歯科検診と唾液検査では虫歯も、また虫歯菌も発見されなかった。昨年再検査となった痔も再検査とならず、見た目には(高齢なりに)健康を維持しているようである。よかったというべきなのか、それとも「もっと構ってほしい」というべきなのか。目下複雑な男心である。

04/24 【聴】 Beyond the Moment / Miklos Ganyi Trio, 澤野工房(AS-157)

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 ハンガリー出身のピアニスト、Miklos Ganyi(ミクロス・ガニ)によるピアノ・トリオのアルバム。ベースにChristian "Pecek" Lakatos, ドラムにAndras "Pecek" Lakatosの兄弟を迎え、軽快なスタンダードナンバーを聴かせる。全11曲。なお本作はMiklos自身が澤野商会に直接売り込みをかけた作品とのこと。

 "Someday My Prince Will Come"、"My Funny Valentine"、そして"Autumn Leaves"。有名曲が並ぶ本作。特に"Poinciana(Nat Simon)"が入っているのが個人的にはうれしくて、この曲だけでももう買った価値あり!Miklos Ganyiイイ!と無邪気に思ってしまうあたりが亭主である。ただ冷静に聴いてみると、なんというか全体的に淡々とした曲調、どの曲もわりと坦々と演奏しているあたりが気になってくる。特にM10"If I Should Lose You"、M11"Autumn Leaves"の2曲は叙情豊かに演奏されることを期待したのだが、格別テンポがゆったりするわけでも、ピアノタッチに逡巡が入るわけでもなく、どちらかといえばヨーロピアン・ジャズ的な端正な演奏でまとめている。若干28歳、まだまだこれから伸びしろのあるアーティストである。Bill Evansのような内省的な演奏が正解というわけでもないし、上原ひろみのようなトリッキーな演奏でインパクトを求めるわけでもないが、新人としての、Miklosなりの尖った個性があってもよいかなと思ったりもする。アレンジにちょっとした遊び心、端正な中にもちょっとした違和感があるので、このあたりを個性として伸ばしていったら面白いかな、などと無責任に思っている。(2019.04.05)

2019年4月17日 (水)

04/17 【読】「電気グルーヴのメロン牧場・花嫁は死神6(電気グルーヴ、ロッキング・オン)」

「電気グルーヴのメロン牧場・花嫁は死神6(電気グルーヴ、ロッキング・オン)」


 石野卓球とピエール瀧によるテクノユニット・電気グルーヴがロッキング・オン誌上で好評連載していた「電気グルーヴのメロン牧場・花嫁は死神」最新刊。今回は2014年から2018年までの5年間の記事を収録。毎号収録に漏れた記事をボーナストラックとして追加している。


 なお本書発刊後ほどなくしてピエール瀧は麻薬取締法違反で逮捕されている。Sony Music(Ki/oon Sony)は電気グルーヴとピエール瀧の作品一切を販売中止としたが、本書は引き続き書店などで大好評販売中。未読の方はぜひ手に取って、レジへと突進いただきたい。


 電気グルーヴ結成25周年から30周年へ。齢50をすぎてますますお元気な石野おじいちゃん、瀧おじいちゃんのお達者トークが楽しめる「メロン牧場」。毎回、ご両人によるセクハラもスカトロも、酸いも甘いも噛みちらしたどーしようもないトークが延々とつづられている。もちろんライブ・レコーディングの様子やピエール瀧の俳優業に関する話題もあるが、これらはあくまでも「まくら」であり「もののついで」で、メインはもっぱら石野卓球によるどーしようもない話と、それを受けて火に油を注ぐピエール瀧の受け答えにある。ちなみに今回のメインは、アルバム制作の合宿中に生まれたウルトラマン兄弟に対する各種妄想から、なぜか瀧が「ウルトラの瀧」へと改名するエピソードだ。当初は俳優業をはじめこれまでの全作品のクレジットを「ウルトラの瀧」へと変更するよう卓球が迫っていたようだが、最終的には電気グルーヴの中でのみ、1年間の改名ですんだらしい。無理やりにでも改名を迫る卓球と、改名の圧力をノリで躱しつつ全体的に「いやーな感じ」を醸し出す瀧の掛け合いが何とも微妙なスリルをはらんでいる。ゆるいトークが多い本書において唯一といっていい緊張シーンといえるだろう。その他卓球による同性愛トーク、瀧が海外旅行中に遭遇したモヤモヤエピソードなど、全般にどうでもいいエピソードがてんこ盛り。いちばんモヤモヤするのは、コカイン使用で摘発されたピエール瀧が、「ウルトラ」よりも「瀧正則」で売れてしまったあたりだろうか。まあ世の中とはそういうものなのだろうと割り切るしかない。


 ところで。


 世間ではピエール瀧の薬物不法使用に伴う、Sony Musicならびにテレビ局の対応に批判が集まっている。音楽作品の店頭からの撤去と販売中止、映像作品におけるピエール瀧出演部分の撮り直しなどその余波は計り知れず、業を煮やした宮台真司氏ら有志がSonyに対して音楽作品の販売中止撤回を求める署名を提出するなど今もなお混乱は続いている。


 亭主はこのSonyの対応を知ったとき、まず最初に「Sonyはなにがしたいのだろう?」と疑問に思った。違法薬物の使用で逮捕されたアーティストは以前からいたものの、本格的な作品の販売中止は槇原敬之が最初だったという。以降ちょくちょくアーティストが逮捕されるたびに販売中止の措置が取られているが、レコード会社はこの販売中止になんの思いを込めたのだろうか。いや、会社として違法薬物に向き合い、またアーティストに対して厳しい措置をとってきたのだろうか。


 もし会社として違法薬物と決別する強い意志を示したいならば、少なくとも現在レコード会社に在籍するアーティスト・タレント全員に薬物検査を行い、陽性と判断された者全員に厳正なる処分を下すべきであろう。薬物によって製作された作品を「悪の所業」ととして回収・破棄することは勿論、マスターテープに至るまで完全に処分したのち将来アーティストがレコード会社にもたらすであろう利益を損害賠償としてアーティストらに請求し、またアーティストとの契約を解雇して違法薬物を徹底的に排除する意思を示すべきだ。


 あるいは、違法薬物から契約アーティストたちを守りたいと強く思うならば、アーティストたちに一日~数日の研修を受けさせて薬物の危険性を啓もうし、もしアーティストが薬物に手を出したならばマスコミからアーティストを保護するとともに更生のためのプログラムを施して社会復帰を支援すべきだろう。しかし現時点でレコード会社は、どちらの態度も表明していない。少なくとも騒ぎが収まるまで息をひそめ、アーティストに私刑さながらの処分を下して自らに火の粉がかからぬよう知らん顔をしているようにしか見えない。


 繰り返して言うが、これはピエール瀧だけの問題ではない。音楽業界、ひいては日本の芸能界がどのように違法薬物(その供給源の多くは北朝鮮であり、反社会勢力の収益源となっている)と対峙していくかという問題なのだ。違法薬物に手を出す人間は、違法と知りながら薬物に慰安や救い、その場しのぎの活力を求める弱い人間である。強く罰するべきは違法薬物を違法と知って販売する人間たち、そしてそれら薬物によって収益を得ている犯罪者集団なのだ。残念なことに日本の警察組織、公安が目をつけるのは、薬物を販売する犯罪者ではなく、薬物を使用してしまう被害者たちである(これは振り込め詐欺グループがなかなか摘発されず、著作物をアップロードする側ではなくダウンロードする側をよく罰する状況ととてもよく似ている。犯罪者も警察も、弱者を相手にする方が楽であるし、手っ取り早く成果を上げられることをよく知っているのだ)。


 亭主もSony Musicの対応には強く抗議する。しかしその抗議は芸能界に蔓延する薬物に対してまるで会社が被害者であるかのように振舞い、社会的責任を果たしていないことへの抗議である。そして社会的責任を果たさない中でただひたすらに叩かれ続ける薬物被害者、弱者に対する「いじめ」への抗議である。(2019.04.17)


 

2019年4月12日 (金)

04/12 【聴】Non-Standard Collection-ノンスタンダードの響き- / V.A., Non Standard|Teichiku(TECI-1624)

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 YMOが散開して後の1984年、細野晴臣プロデュースによる二つの音楽レーベルが始動した。テクノポップ以降の新しいポップ・ミュージックを模索したレーベルNon-Standardと、電子音響を柱としたアンビエント・実験音楽のレーベルMonad。今回は特にNon-Standardからリリースされたアルバム・シングル64曲を4枚のディスクに詰め込んでいる。


 Non-Standardレーベルについての亭主の想いは(たぶんみなさん全く覚えていないだろうが)このサイトで時々綴っているので、今回殊更語ることはない。曰くテイチクレコードの良心(テイチクの社長が夢の中でお告げを受けたそうだ)、その後のポップ・シーンにおいて再び現れることのなかった個性的なアーティストを多数排出した、まさに夢のようなレーベルである。Pizzicato V、Shi-Shonen、MIKADO、Urban Dance、コシミハル、そして本企画をプロデュースした鈴木惣一郎がリーダーをつとめたWorld Standard。本アルバムにはそんな個性的なアーティストの作品がごった煮然として収録されている。一部楽曲がレア・トラックだったり、アナログでリリースされていたものだったりする。重箱の隅をつつくように聴いてもよし、まったり漫然と聴くもよし、それぞれお好みで楽しみたい。


 ところで本企画の目玉は、楽曲よりも豪華ブックレットにある。Non-Standardレーベル発起時にマスコミ各社に送られた案内書、アルバムリリース時の広告、ライブのちらし、雑誌やフリーペーパーに掲載された記事などがこれでもかと収録されていて、音楽よりも活字を読む方が時間がかかる。全作品の楽曲解説、鈴木氏による関係者へのインタビューなど新たに書き起こされたコンテンツも多い。A4サイズのためCD-Boxのブックレットにありがちな窮屈さがないのが良い。(2019.03.29)

04/12 日々雑感

イキオイでアメブロにブログを開設したが、その後しばらく様子をみて、どうもこれは自分のノリではないなと思い始めた。

アメブロを否定するつもりは一切なく、ブログが対象とする「年齢層」や「性別」や「興味」が、亭主のそれと異なることに気づいたのだ。

たとえばアメブロの公式トップにあるトップブロガーのカテゴリには「子育て」「ファッション」「ペット」「料理」「美容」「旅行」「グルメ」「インテリア&DIY」「コラム」「海外生活」「専門家」「趣味」とある。ブログを執筆する有名人・芸能人には市川海老蔵氏、渡辺美奈代さん、堀ちえみさんと昨今ワイドショーや週刊誌をにぎわせる名前が並ぶ。亭主が彼らの足元にも及ばないことは言うまでもないが、アメブロでブログ活動を行うのであれば、話題をアメブロのカラーに合わせたほうが居心地の悪い思いをせずにすむ。アメブロのアプリをスマホにインストールしたところ、運営から毎日のように通知が届く。通知の内容はもっぱら「ママ友の話」「子供の学校の話」「嫁姑の確執」である。亭主にはどれも関係のない話ばかりで、通知を開いて内容を確認するべくもない。

アメブロが良い悪いではないことは重ねて言っておく。世の中には「ママ友の話」や「子供の学校の話」が生活の中心にある人もいる。そんな人たちが集う場所、芸能人の話題やファッションやグルメの話題を楽しみにする人々が訪れるブログがアメブロなのだ。

そんなこんなでアメブロを退会した。そもそも何のサービスも始めていなかったので、退会の手続き中に、退会を思いとどまる画面が繰り返し表示されてもなんの感慨も躊躇もなかった。ココログからの移住先(あるいは避暑地)はいまだ決まっていない。まだまだ流浪の民である。

2019年4月 9日 (火)

04/09 【聴】 Discover America Box / World Standard, Daisyworld|Bridge(EGDS-77~80)

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 鈴木惣一郎のソロ・プロジェクト、World Standardが1997年~2002年に手がけたDiscover America 3部作が満を持してBoxセットとして登場。完全限定版、3枚のアルバムに未発表曲9曲を収録した"Discover America Series Vol.0 Outtakes"を含めた4枚組。全600セットのうち亭主は122セット目を入手した。豪華ケースに全曲解説文が掲載された32Pのブックレット、それに鈴木氏自身による手書きのシリアルナンバーが同梱されている。

 Discover Americaシリーズ。アコースティックとシンセサイザー、オールド・アメリカン・ミュージックとアンビエントとが程よく同居する、亭主お気に入りのシリーズだ。本シリーズの中間に、細野さんと(久保田)真琴さんの「ルイジアナ珍道中(Road to Louisiana)」のリリース(1999年)があったり、2002年にHot Club of Cowtownの日本企画盤"Hot Jazz"、"Hot Western"がリリースされカントリーウェスタンに注目があつまったりと、アメリカの古き良き音楽がことさらに注目・再発掘されたのがこの時期だったりする。オールド・アメリカン・ミュージックというととかくウェスタンやロカビリーに耳が行きそうだが、実際のところアメリカ音楽のルーツはネイティブ・アメリカンのそれに行き着くと(亭主は勝手に)思っている。簡単には踏破できないほど広大な土地と、人々を寄せ付けない過酷な気候、そして太古より息づくブラック・マジックがアメリカ大陸全体を覆っていて、人々はその得体のしれない「力(土地そのものが持つ力であり、自然の力であり、また呪術的な力をもさす)」におびえ、それらが支配する「夜の闇」におびえていた。Discover Americaシリーズの本質は、人々が恐れる「超自然的な力」と「夜の闇」にあると亭主は勝手に想像していて、その想像はどうやら見当外れではないらしい。バンジョーの爪弾き、古いアメリカのリズムやメロディと代わる変わる立ち上がるのは、おそらくアメリカの大地に響く風の音や遠雷である。

 もちろん、本シリーズに収録のすべての楽曲が怪しい呪術によって支配されているというわけではない。軽快で素朴なウェスタン・サウンド、アフリカ系アメリカ人の歌うブルーズ、そして古いアメリカのテレビドラマにでも登場しそうなポピュラー音楽。鈴木氏による「どこかにありそうな懐かしさ」と「どこにも存在しない不自然さ」を兼ね備えたサウンドが、全編に展開される。もちろんすべて鈴木氏のオリジナルである。ワールドスタンダードで醸成された世界音楽への深い造詣が一気に開花した傑作中の傑作シリーズといえる(2019.03.20)。

2019年4月 5日 (金)

04/05 ご連絡(新しいブログの開設と、ココログ運用継続の件)

これは秘密にしていたというわけでもないが、何年か前にAmeblo会員になっていて、プロフィールやブログを開設できる状況にあった。やみくもにブログを増やしても管理しきれないと放置状態にあったが、このたび「アメブロ出張所」として開設の運びとなった。

Domuya Portal -アメブロ出張所-

ぱちぱちぱち。

おめでとうございます。

ありがとうございます。

さあこれで忌々しいココログともおさらばだ、コンテンツを引き上げようにもバックアップがとれないからいっそのこと放置してやろうと思っていたら、なんとDNSエラーの解決方法がサポートに記載されていた。ココログへのリンクを

"http://domuya.cocolog-nifty.com/blog"

ではなく

"http://domuya.cocolog-nifty.com/blog/"

にすれば解決するのだそうである。試してみたらなるほど正常に動作する。これまでスラッシュなしで動作したものがなぜ今頃という気持ちはなくはないが、これでようやく正常運転に戻ることができた。懸案だった「読」のコンテンツをブログ記事として投稿することもできた。

結局Ameblo側が宙に浮いてしまった形になるが、そこはそれ、ココログとは用途を少し変えたかたちで記事を投稿していく予定である。

当サイトは、ココログのほかに、Typepadにもブログを置いている。Typepadにはどちらかといえばアーカイブ的というか、資料的価値の高そうなコンテンツを置いている。ココログはメインサイトDomuya Portalのコンテンツを時系列に並べた疑似ニュースサイトである。Amebloはココログよりもさらに速を上げた日々の雑談ブログにしていきたいと考えている。

日々の雑談をココログで展開しない理由は明確である。iPhone用のココログアプリが、ココログリニューアルと同時に使用不能になったのだ。古今東西リニューアルで機能が退化したWebサービスはココログが初めてではあるまいか。サポートページに報告されている不具合を見ていると、素人がプログラムを開発しているようにしか見えない。危機感というものがない。

まったくこまったものである。

04/05 【読】 「犬であるとはどういうことか~その鼻が教える匂いの世界~(アレクサンドラ・ホロウィッツ、白揚社)」

「犬であるとはどういうことか~その鼻が教える匂いの世界~(アレクサンドラ・ホロウィッツ、白揚社)」

 

 コロンビア大学バーナード校で教鞭をとるかたわら、犬の認知研究室を主宰する著者が犬の認知について徹底的に解説した書。氏の著作には犬の認知を総合的に解説する「犬からみた世界」があるが、本書は特に「嗅覚」について氏の膨大なフィールドワークが記載されている。2016年刊。日本語版は竹内和世氏翻訳にて2018年に刊行されている。

 「匂いを嗅ぐ行動」は犬のもっとも代表的かつ特徴的な行動である。愛犬家ならば自分の飼い犬が散歩の植え込みや電信柱につけられた他の犬の匂いを念入りに嗅いでいるのを見るであろうし、愛犬家でなくともテレビや新聞で警察犬や麻薬探知犬といった特別に訓練された犬が活躍する記事を目にすることだろう。本や日常会話で「犬の嗅覚は人間の10万倍」などと聞くと「じゃあ犬は日常相当臭いに違いない」と思いがちだが、ならば犬は(相当臭いにも関わらず)なぜ執拗に匂いを嗅ぐのだろうかという疑問も同時に湧き上がることだろう。

 本書では、犬の鼻が分子一個分を検知する超強力なニオイセンサであると同時に、このニオイセンサの能力を利用して、人間が様々な役割を犬に与えていると説明する。先に述べた警察犬や麻薬探知犬だけでなく、トリュフをかぎ分ける犬、森の中で野生動物の痕跡を探す犬など、活躍の範囲は実に広い。犬がどのようにニオイを検知するのか、鼻の構造、匂いを嗅ぐ動作、そして検知した匂いをどのように脳内で処理するのかーーー氏の専門である認知行動学を駆使することで、犬が持つ強力な能力、そして能力がもたらす犬独特の世界観を犬との日常から生き生きと解説している。

 人間の10万倍とも、1億倍とも言われる犬のニオイセンサ、しかしこのセンサは犬に限ってのものではない。本書ではまた、著者自身が匂いの研究室で匂いのトレーニングを繰り返した結果、彼女自身もまた強力なセンシング能力を獲得するに至った経緯が語られる。うんざりするほど膨大な匂いのサンプル、時には吐き気を催したり頭痛がするような匂いまでテストの対象として嗅いだ結果、彼女の脳は匂いをビジュアルやイメージと結びつけて記号化し始める。記号化するということはすなわち脳内で情報処理が可能であることを意味する。犬と一緒に植え込みの匂いを嗅ぐことで、それまで見えて(匂って)こなかった犬独特の風景が見えて(匂って)くる。匂いとは過去に起こったことの記録である。犬は世界にちりばめられた「過去」をその強力なセンサで探知し、記号化している。

 人間もまた訓練によって犬に匹敵する匂い検知能力を獲得できるというのが本書における大きなトピックだろう。もちろん人間の鼻は、犬の鼻のように匂いを嗅ぐことに特化した構造を持っていないし、トレーニングを怠れば能力は失われてしまう。しかし生物の鼻が匂いすなわち化学物質を検出・分類可能な「生体センサ」であることは「目=光」「耳=音」といったセンサと比肩しうるものとして発達してきたことを意味する。

 現代において匂いを嗅ぐ行為はけっしてマナーのよいものではなく、消臭グッズが売れていることからも匂いを生活から遠ざける風潮にあることは確かだが、それでも「匂い=化学物質」を探知する能力は、生物の持つ基本的なセンサの一つなのだ。(2019.04.05)

2019年4月 4日 (木)

04/04 ご連絡

3/19のリニューアル以来、不具合が多発しているココログ。

亭主のサイトでも、DNSエラーなどで外部リンクからのアクセスができなくなっている。直接URLを指定すれば表示は可能だが、たとえばラクーカン上にあるDomuya Portalから、ココログへのリンクはDNSエラーとなる。ラクーカンもまたココログ同様@niftyのサービスであるにも関わらず、である。

復旧を期待して現在まで静観してきたが、不具合は一向に改善されていない。念のためサポートに不具合の内容を報告しているが、いまのところは何の連絡もない。

ブログの投稿などは現時点でも可能。とはいえ不具合を抱えたままの運用はやはり不安が残ることから、しばらくの間ブログへの投稿を休止することにした。ブログ記事そのものを一括でバックアップして他のブログへと移行することも考えているが、凶悪なことに現バージョンのココログにはバックアップ機能がないようである。現状維持でしばらくブログをお休みする。

どこか別の無料ブログサイトに新しくブログを立ち上げることも考えている。その際にはDomuya Portalで告知したい。

 

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