2020年1月 1日 (水)

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2017年11月18日 (土)

11/18 【読】 「神の発明 カイエ・ソバージュ(4)(中沢新一、講談社選書メチエ)」

「神の発明 カイエ・ソバージュ(4)(中沢新一、講談社選書メチエ)」

 人類学者中沢新一氏のライフワークともいうべき「対称性人類学」より、2002年中央大学での講義録を全5冊にまとめたシリーズが「カイエ・ソバージュ」。第4巻となる本作では、脳が人間にもたらす心理体験からいかにして神が生み出されたのか、また原始宗教であるアニミズムや多神教、現在宗教の主流をなすイスラム教、キリスト教などの一神教がどのように発明されたのかを膨大なフィールドワークと思考実験とから解説する。


 コミュニティからの「王」の発生を解説した第2巻、「資本主義社会」の発生を解説した第3巻につづき、本作ではなんと「神」すらも人間の発明である(まあ当たり前、といえば当たり前なのだが)とし、その成立を順を追って説明する。「神」かつては「スピリット=精霊」などとも呼ばれてきた存在の輪郭は、実は脳から発生する一定のパターンであるという。夜、眠りにつくときに瞼のウラに見える輝点やパターン、片頭痛持ちがよく見るという幾何学模様などはいずれも脳から生じ、古代の人々は瞑想や内観によって得られた様々なパターンを高みから降りてきた「神」「精霊」のメッセージだと解釈したのだそうだ。高みから降りてくる神「高神」と、遠くからやってくる神「来訪神」。タテとヨコの関係から導き出される2種類の神の存在が、古代社会の規範となり、多様な風習・祭礼となって華開く。


 シリーズを通して読み進めてくると本書は格別に抽象度が高いようである。神の位置づけを「メビウスの輪」や「トーラス体」になぞらえトポロジカルに解説を試みる下りは、現代最新物理学(例えば超弦理論)のアプローチにも似て刺激的だが、抽象度が高いため少しでも違和感が生じるとそこで思考が止まってしまいがちである。シリーズの大きな山場として、亭主自身なんとか思考が止まらぬよう頑張って読んでみたが、はたして正しく解釈しているかは自信がない(2017.11.18)

2017年11月15日 (水)

11/15 【聴】 Vu Ja De / Haruomi Hosono, Speedstar|Victor(VICL-64872-3)

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 細野晴臣最新作。自身初となる2枚組フルアルバム、1枚目はブルーズ・ブギウギの名曲のカバーで全8曲、2枚目は細野さん自身の最近のお仕事作品全12曲を収録している。曲解説を含む豪華ライナーノーツも収録。

 ディスク1は"Eight Beat Combo"なる仮想のバンドをフィーチャーし、1940~50年代のブギウギ、スワンプ・ロック、ポピュラー、ブルーズ、ロカビリーなどを細野さん自身が歌い上げる。いずれも現在のポップス、ジャズ、ロックなどの源流となる音楽たち、往年の名曲が持つ深みと、それ以上に感じさせる「音楽としての普遍性」が存分に楽しめる。1940~50年代といえば日本は戦前から戦後へと移り行く激動の時代、アメリカもまた第2次世界大戦のただなかにあったが、それでもアメリカ本国には戦火が及ばず、音楽的に豊穣な時代だったようである。アルバムの最後は"El Negro Zumbon(Anna)"で〆る。アメリカン・サウンドで彩られたアルバムにあっては唯一のラテン。作曲家はイタリアのArmando Trovajoliである。次のアルバムはラテンになるかもしれない、とは細野さんの重要な示唆。


 一方、ディスク2は"Essay"と題された細野さんのお仕事集。1956年の日活映画「洲崎パラダイス赤信号」にインスパイアされて作ったという「洲崎パラダイス」、石川さゆりのために制作したというレトロなブギウギ「寝ても覚めてもブギウギ」は、ディスク1でフィーチャーした往年の音楽と直接接続する作品。「洲崎パラダイス」の退廃的なアレンジは、洲崎が東京最後の「赤線地帯」、遊郭立ち並ぶ歓楽街であったことに由来する。そのアレンジは、もう実際に聴いてもらうしか表現の術がない。いわゆる最近の音楽にはありえない「崩壊」の感覚が味わえる。亭主などはすっかり退廃的なアレンジにアテられて、ここ数日は頭の中にこの曲が無限ループしていた。


 その他、角川文庫の「発見!」キャンペーンのために制作された「ユリイカ1」「ユリイカ2」(ユリイカ2のみ使用されたらしい)、日本生命ロングランCM曲"Pecora"、"Oblio"、資生堂IHADAのCM曲「天気雨にハミングを」、NHKのEテレで放送中の5分間番組「2355」テーマ曲などのタイアップ曲、中川翔子原案のテレビアニメのオープニングテーマ"Neko Boogie"、自身の曲のカヴァー「悲しみのラッキースター」などが並ぶ。特筆すべきは1989年のアルバム"Omni Sight Seeing"収録の"Retort"のセルフ・カヴァーだろう。当時細野さんは、この曲には歌詞がついているものの難しい旋律なので誰かに歌ってもらいたいと思っていたらしい。当時のライナーノーツにそのような言及がある。ところが28年の歳月を経て、ついに細野さん自身がこの曲を歌っている。当時からのファンにとってはまさに待望の1曲であり、30年あまりを経て成就された約束の曲でもある。(2017.11.07)

2017年11月13日 (月)

11/13 【聴】 Bring on the Sun / Laraaji, All Saint Records(WAST054CD)

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 アンビエント系アーティストとして電子音楽黎明期より活動。Brian Enoプロデュースにより1980年にリリースした"Day of Radiance"はアンビエントの傑作の一枚として今なお再発が繰り返されるほどの人気を誇るLaraajiの最新作。Disk1の"Bring on the Sun"およびDisk2"Sun Gong"の2枚組、ただしアルバム名としてはBring on the Sunで代表しているようである。


 Laraajiに特徴的な、ダルシマーの爪弾きの美しい"Introspection"から始まるDisc1。オーソドックスなアンビエントという印象は、半分正しくて、半分間違っている。手法そのものは"Day of Radiance"時代から変わっていない。ところが、本アルバムにおいてLaraajiは、これまで彼が積み重ねてきた手法を一曲毎に開陳、展開していく。趣を変えてハモニカをフィーチャーしたM2"Harmonica Drone"、さらに趣を替え荘厳なオルガンとジタ―の爪弾きをフィーチャーしたM3"Enthusiasm"と、曲ごとに曲調をがらりと変えていく。M3などは聖堂音楽のようなアラブ音楽のような歌声まで入る。曲ごとにそのトーンを変えることで、アルバム全体が変化にとんだ、ある種のポップさすらも備えていく。ここまで聴かせるアンビエントのアルバムというのもそうそうないのではなかろうか。


 Disc 2はタイトルの通り、22インチのゴング(銅鑼)の打音をフィーチャーしたドローンのアンビエント。風に吹かれるまま、といった趣のある強弱付けた打音、チベットの高地にでもありそうな、無人の寺院で鳴り響いていそうなサウンド。Disc 1、Disc 2ともにLaraajiの音楽遍歴の集大成、非常に面白い。(2017.10.14)

2017年11月11日 (土)

11/11 【聴】 Everything is Good / 高野寛, Sunburst(SBST-007)

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 デビュー30周年を控えた高野寛の最新ミニアルバム。ミニアルバムとあるが、実際にはオリジナル全7曲にボーナストラック5曲となかなかのボリューム、高野さんの面目躍如たる爽やかなポップスを聴かせる。


 このところずっと高野さんのアルバムを聴いている。インターネットネイティブ世代の生活の一コマを切り取った"Chamereon Pop"、リオ五輪へのオマージュとして制作された"TRIO"とコンセプチュアルな作品が続いた中で、本作は原点回帰とでもいおうか、シンプルで屈託のないアルバムに仕上がっている。アコースティック楽器を主体とし電子楽器は最小限、外連味が抑えてあるのも往年のファンにはうれしい。爽やかなラブソングは、かつて若かったころの記憶をまざまざと甦らせる。いうまでもなく亭主のことである。


 ボーナストラックは、本アルバムに収録されている楽曲のプロトタイプ/デモバージョン。旧くは1992年に制作されたもの、新しくは前年にカセットに吹き込まれたデモバージョン。プロトタイプの段階でかなりの完成度となっており、デモのほうが(アコースティック楽器ではなく電子楽器をつかって制作されているせいか)むしろ賑々しいあたりが面白い。(2017.10.26)

2017年11月10日 (金)

11/10 日々雑感

野田市にある大盛りの店、「やよい食堂」が閉店していたという報がFacebookの向こうの方から流れてきた。

大盛で人気の「やよい食堂(千葉県野田市)」さんが体調不良のため長期休業中(営業再開は未定)??

亭主は大学時代にこの店にちょくちょく行っては、定番だったカツライス(もちろん普通盛りだ)を食べていた。大食い自慢のA氏がカツライスの大盛と卵スープを注文し、結局1/5ほど食べたところでギブアップした話であるとか、オトナ二人子供二人、家族四人が店に入ってきて焼きそばの普通盛りを一皿注文し、結局4人で食べ切れなかった話であるとか、大盛りに関するエピソードには事欠かなかった。「やよい食堂」と対峙して、勝利宣言をした客は皆無であった。

学生時代に行っていた食堂ではあったが、当時亭主が住んでいた場所から少し遠かったこともあって、「通う」ほどではなかったように思う。「大盛り」を食べるというよりも、盛りの良さを話のネタに、皆でわいわいと楽しく食事する店であった。

閉店の報は亭主に「ああ」と声を上げさせたものの、そこに去来した思いはあっさりしたものであった。「やよい食堂」に限らず、これまでに実に多くの店が閉店している。こうやって亭主がキーボードでテキストを打ち込んでいる間にも店は営業をやめ、街並みは変わり、懐かしい景色は更地になっている。浪人時代を過ごした松本の学生寮、大学入学2年間を過ごした浦和の県人寮、入社してからの8年を過ごした社員寮、いずれも取り壊され、跡形もない。

亭主のベターデイズは、高校を卒業して浪人となった1987年から、社会人となり結婚するまでの2007年の20年間であったが、この時代を過ごした痕跡は、いまやほとんど残っていない。魅力的な在庫の古本屋も、多彩な音楽がパッケージとなって置かれていたCDショップも、古き良き時代の名機たちを目の当たりにできるオーディオ店も、デジタルガジェットの日進月歩が実感できた電気店も、優しい味わいの中華そばの店も、いまはどこにも存在しない。

かつての明るく、活気に満ち、豊かだった社会を知らない若い世代を亭主はつくづく気の毒に思うが、彼らにとってそんな社会は「なかったもの」に等しいのだから、気の毒に思われる筋合いはないのかもしれない。

やよい食堂の写真が見つからなかったので、2002年の懐かしいデジタルガジェットなどを。

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2017年11月 8日 (水)

11/08 【聴】 Zukunftsmusik / DJ Hell, Ritmo Calentito(RTMCD-1256)

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 ジャーマン・テクノの雄として、また日本では巨大テクノ・レイヴWIREの常連DJとしても知られるDJ Hellの最新作。自身5枚目となるフルアルバムは、ダークかつメランコリックな雰囲気に包まれたエレクトロニック。全15曲。

 アルバムMunich Machineでは富豪然とした風貌のジャケットで話題となったDJ Hell。以降も"Gigolo"なるレーベルで、アルバムジャケットにボディビルダーを採用したりと、なにかと「イロモノ」感が付きまとう彼だが、今回のアルバムは非常にシリアスに仕上がっている。これまでのミニマルなテクノトラックから、クラフトワーク然としたエレクトロへと軸足を移していて、ポップな中にもどこかダークな部分が含まれる。少し前に、Mobyが社会に対する絶望感にあふれたアルバムをリリースしたが、あの時の心境が再びよみがえった形だ。DJ Hellのアルバムにも、絶望感や不安感が色濃く現れた作品が少なからず存在する。世間的にはアニメ調のMVが話題となった"I Want You"に耳目が集まる。一方亭主は"Army of Strangers"に注目したい。ドイツに流れ込むシリア難民、しかしその中にはテロを企てる人間もまた居て、社会不安の大きな原因となっている。楽曲では背後にガヤガヤ、ザワザワといったSEが重ねられていて、エレクトロという枠組みよりもドキュメンタリー映像のBGMという枠組みで語ってもよいくらいだ(2017.10.14)

2017年11月 6日 (月)

11/06 【聴】 Crystal Silence / Gary Burton + Chick Corea, ECM(PROZ-1091)

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 ヴィブラフォン奏者のGary Burtonと、ピアニストのChick Coreaとのコラボ作、タワーレコード限定SA-CDハイブリッドアルバム第2弾が本作となる。ECMでのSA-CDリリースはこれまでにもなく、またECM音源を他レーベルへと貸出してのSA-CDアルバム化もなかったとのことで、ファンにはかなり衝撃的なアルバムといえる。アルバム自体は1972年11月録音。Coreaの曲が5曲、Steve Swallowの曲が3曲、Michael Gibbsの曲が1曲。特筆すべきはジャズ界にフュージョン・ブームを巻き起こした記念碑的な曲"What Game Shall We Play Today"が収録されている点だろう。


 上にも書いたが亭主はGary Burtonのヴァイブ・サウンドが大好きで、Ralph Townerとの共作"Matchbook"は亭主のオールタイム・ベスト、オーディオ視聴時のリファレンスアルバムとなっている。透明で澄み切ったヴァイブの音色は、時にリズミカルに、時に繊細に音楽を奏でる。その音楽はジャズであり、クラシックであり、またポップでもある。フュージョンブームの中でクロスオーバー、なる言葉が生まれ、その言葉の上をオルタナティブ、なる言葉が覆いつくしても、オリジナルである「フュージョン」という言葉のもつ涼やかさ、瑞々しさはかつてのままである。ヴァイブの音色がCorea奏でるピアノの音色と似ていることもあって、作品の一体感、完成度は非常に高い。(2017.10.14)

2017年11月 3日 (金)

11/03 【聴】 My Foolish Heart / Ralph Towner, ECM(UCCE-1167)

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 アメリカ・ワシントン州出身のマルチプレイヤー。ギター、ピアノなど多彩な楽器を演奏し、作曲家・アレンジャーとしても活躍するRalph Townerの2017年最新作。ヨーロッパの名門レーベルECMからのリリースとなる。表題作My Foolish Heartほか、全11曲。


 Ralph Townerといえば1975年のGary Burtonとの共作"Matchbook"がことに有名。当時もECMからのリリースで、遅ればせながら亭主も社会人になって購入、大いにハマった記憶がある。ECMからのリリースは1986年"Slide Show"、2013年"Travel Guide"とほぼ27年ぶり、さらに"My Foolosh Heart"は4年ぶりとのことだが、このアルバムもまた素晴らしい。ギターソロのアルバム、全般にクラシカルな雰囲気が漂っていて、異国情緒(といってももちろん欧州の人々にとってだ)も感じられる。クラシックギターと12弦ギターを使い分け、オリジナル10曲、そしてBill Evansのピアノ演奏で有名なMy Foolish Heart(Victor YoungとNed Washingtonの共作)を爪弾く。枯淡だが、ゴージャス。そんな形容がしっくりくる、美しいアルバムに仕上がっている。クラシックやジャズに疎い亭主がここまでハマるアーティスト/アルバムなのだから間違いない。(2017.10.14)

2017年11月 1日 (水)

11/01 日々雑感(TUMI 22907 INTERNATIONAL 4 WHEEL SLIM CARRY-ON)

出張用に、TUMI 22907 ALPHA 2 INTERNATIONAL 4 WHEEL SLIM CARRY-ONを購入した。

亭主はすでにキャリーケースとしてAmerican Tourister を所有している。大学4年の頃(だったか)柏のカバン店で購入したもので、就職してからも海外出張や、結婚して以降のハワイ旅行に持ち歩くなど、25年以上も使い続けてきた。ただ、購入した当初より使い勝手の悪さが気になっていて、いつか買い替えたいと思っていたのだ。

使い勝手の悪さの最たるものが、直進安定性の悪さにある。

亭主が所有するキャリーケースは2 WHEELタイプで、輸送時には基本的にケースからハンドルを引き出して、2つの車輪でケースを引っ張る。ところがこの車輪、ケースの幅に対して車輪の幅が狭いらしく、引っ張るうちに荷重がどちらか一方の車輪に偏ると、そのまま左右に振れて制御不能になってしまうのだ。当初は亭主の使い方、引っ張り方がわるいものとばかり思っていたが、ことあるごとに制御不能になると、ケースそのものの不具合を疑ってしまう。もっとおしとやかに、花魁道中のごとくしゃなりしゃなりと引っ張れば良いのかもしれないが、さすがにそこまで配慮もできない。

亭主はすでにTUMIのバッグを2つ(小型ブリーフケースとPC用のバッグ)持っていて、いずれもその使い勝手に満足している。メッシュ素材の強靭さ、小物・大物がしっかりはいる収納性の良さは、亭主だけでなく亭主の付き合い先の人々からも評価されている(おかげでバッグを取り違えそうになったことが何回かある)。1万円ちょっとで購入可能なAmerican Touristerの10倍、量販店ならば値引きで5倍程度と値は張るものの、それだけの価値はあると思っている。

バッグの使用感はまたこんど。

25年以上使い続けて表面が退色し、あちこちガタのきているAmerican Touristerのキャリーケースに変わる新しいケースが届くのを心待ちにしている。もしかしたら11月中旬にこのケースを使う機会があるかもしれない。

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